2024年度の1年間、JKA補助事業として「生物模倣型水中ロボットの急加速・急旋回の実現」をテーマとした研究活動を実施しました。水中ロボットは資源探査や水難救助などに有用であり、魚類のような高い運動性能を目指した生物模倣型ロボットの研究が進められています。本研究室では、ギアなどの機械要素を用いない直接駆動方式により構造を簡素化し、魚類に匹敵する高速な直進遊泳を実現してきました。しかし、急加速や急旋回といった機動性の面では依然として課題が残っていました。
そこで本補助事業では、尾ひれの振幅や周波数を時間的に変化させる制御手法を導入し、魚類が行うような高機動動作の実現を目指しました。具体的には、高速な制御周期を実現するためのハードウェア刷新に加え、力学モデルに基づく最適入力の設計と実機による検証を行いました。その結果、生物の動きを模倣した特定の駆動入力において推進力および遊泳速度の向上が確認され、本事業で提案した手法の有効性を実証しました。
なお、本成果はロボティクス・メカトロニクス講演会で発表されました(内海柊人、原田開生、新竹純、2P1-R08:「生物模倣型水中ロボットの急加速手法の実験的検証」)。
今後は、本補助事業により得られた成果をさらに発展させ、より高い機動性を備えた生物模倣型水中ロボットの研究開発を進めていく予定です。